3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

【特集】クレヨン王国シリーズ

本棚から発掘して電子化した青い鳥文庫クレヨン王国シリーズ。読み返してみて、やっぱり名作揃いだと思いました。一気に紹介したため、ブログの横の記事が全部クレヨン王国シリーズになってしまいましたが、ようやく紹介し終わりましたので、以下にまとめました。

おすすめ度は3段階評価にしました。★★★は本当におすすめです。この紹介を書いた後、クレヨン王国ベストコレクションとして新装版が出ているのを知りました。花ウサギと新十二か月の旅です。私が★3つを付けた作品でもあり、なんだか嬉しいですね。

No タイトル おすすめ度 一言紹介 主人公 形式 登場人物
1 クレヨン王国の十二か月 ★★ 記念すべき第一作。シリーズの基本スタイル(枕元にクレヨンを置いて寝る→クレヨン王国に行って帰る、自然と人間がテーマ)はここから 女の子:ユカ 長編完結。関連続編あり シルバー王妃
2 クレヨン王国のパトロール隊長 ★★★ 大人が何度でも読み返せる密度の濃い長編。一番読み返し一番泣いたので一番おすすめしたい作品 男の子:ノブオ 長編完結 スージー
3 クレヨン王国の花ウサギ ★★★ 美しい物語描写とリアルな海埋め立て問題描写が光る作品 女の子:ちほ 長編完結 ウサギのロぺ
4 クレヨン王国いちご村 色彩豊かで、明るいユーモラスな話、家畜と人間との関係を考えさせられる話など様々 男の子:正 短編集 クレヨン
5 クレヨン王国の白いなぎさ ★★ 夢の大切さを実感するファンタジー。小学生で楽しく読んで、大人になって読んでちょっとどきっとする 女の子:さつき 長編完結 清少納言、百点マシン
6 クレヨン王国七つの森 夏にぴったりのファンタジー。7人の少年少女が夏のキャンプで不思議な宿題に挑戦する物語 自然観察クラブの7人 オムニバス ネコ犬、ボーゼ
7 クレヨン王国なみだ物語 ★★ 地位も職務も投げ捨てての恋など涙せずにはいられない7つの短編 7つぶの涙 短編集 ちとる、ノタムタ君、カピタン
8 クレヨン王国月のたまご ★★★ 私立中学受験に失敗し茫然自失で迷い込んだ先はクレヨン王国。癒しと恋と成長を見つける物語 女の子:まゆみ 長編。続編あり 三郎、アラエッサ、ストンストン
9 クレヨン王国月のたまごPART2〜PART8 ★★ 月のたまごの続編シリーズ前半。このシリーズまでを読むのがおすすめです 女の子:まゆみ 長編。続編あり ダマーニナ、ナルマニマニ、カメレオン
10 クレヨン王国月のたまご四土神〜完結編 × 月のたまごの続編シリーズ後半。残念ながら読むのはおすすめできません。ごめんなさい 女の子:まゆみ 長編。これで完結 三郎、アラエッサ、ストンストン
11 クレヨン王国からきたおよめさん ユーモア路線、食べ物おいしそう路線、ミステリー路線の1冊。1か月人間界に追放されるおよめさんとの生活を通して自分が自分であることの大切さに気づく 女の子:亜有子 長編完結 夏江子、桃ちゃん、およめさん
12 クレヨン王国まほうの夏 クレヨン王国の子どもを育てる二人。子育て中の二人が挑戦する誘拐事件。水太は何かになれるのか? 男の子:清太、女の子:麻美 長編完結 水太
13 クレヨン王国春の小川 ★★★ たっぷり笑ってちょっぴり泣ける愛と冒険の物語。しかも食べ物がおいしそう。底抜けにおすすめ! 女の子:和子 長編完結 三日月様、ホワリー、ミーシャ
14 クレヨン王国の赤トンボ もっともクレヨン王国らしくない一冊。ファンタジーよりもリアルな描写が光る一冊 女の子:美奈代 長編完結 菊菜、良恵、ふじみ
15 クレヨン王国新十二か月の旅 ★★★ なくした癖と封じた癖を取り戻す旅に出る王妃。旅をするうちに癖にはいい面と悪い面の両方があると気づく。アニメから入った人にもおすすめ シルバー王妃 長編完結 十二の野菜たち、ディック、ベーツルさま
16 クレヨン王国黒の銀行 ★★ お金ならぬ黒を預けられる銀行の力を使って犯人と面白おかしく対決する。最後のオチが鮮やか 女の子:美穂 長編完結 彰子ちゃん

福永令三ークレヨン王国黒の銀行

第125冊目は、作者がアイデアを一気に書き上げたという作品「クレヨン王国黒の銀行」を紹介します。

長らく紹介してきたクレヨン王国シリーズ本、私が紹介するのはこの本で最後になります。この本の後もシリーズは続いていて結構な数が出ています。が、読み返してみて、やっぱり紹介するほどは思い入れがないな、と思ったからです。

では、元気よくいきましょう! 度胸、愛きょう、すっとんきょう、おお!

「黒の銀行」ですが、タイトルの黒の銀行が面白いですね。お金ではなくて、黒を預けたり引き出したりする銀行なのです。例えば、あなたの髪が真っ黒ならば、切って銀行に預けられるのです。単位はブラック。

今回の物語の主人公は初期作品の小学生とは違って中学1年生の美穂です。美穂はおじいちゃん家を訪ねるために1人旅してきて、駅からおじいちゃん家に銀行員の彰子ちゃんに車で送ってもらう途中、事件に巻き込まれます。

なので、サスペンス、事件巻き込まれ型の「およめさん」や「まほうの夏」と似たところがあります。主人公はクレヨン王国と接点を持ちますが直接クレヨン王国には行きません。事件をなんとかするためにクレヨン王国由来の力をつかう、というストーリーです。

「度胸、愛きょう、すっとんきょう、おお!」は主人公美穂と彰子の掛け声なのですが、ユーモアたっぷりで笑える話になっています。気軽に読めて、オチもちゃんとあって結構おすすめな一冊です。作者がノリにのって書いただけのことはありますね。



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福永令三ークレヨン王国新十二か月の旅

第124冊目は、アニメのクレヨン王国のもとになった本「クレヨン王国新十二か月の旅」を紹介します。

クレヨン王国シリーズの1作目にならって、シルバー王妃が旅をするお話です。1作目で12もある癖を直したシルバー王妃。実は、もう12個の癖があって、それを抑えるために王家に伝わるわがまま封じのティーカップを使っていました。

王妃の癖がもとで家出までした王様は、王妃が完璧な人になって幸福なはずでしたが、なぜか面白くないのでした。王妃にわがままを直せといって、直してもらったら面白くない・・・さすがに王様も自分が自分勝手だと思ったようです。王様は毎年1年1回来るある人に相談をします。

ある人は言うのです。「王妃様もわがまま封じのティーカップに描かれた野菜たちも限界です、里帰りをさせてやりなさい」というわけで、王妃が野菜たちと旅をする新十二か月の旅が始まります。

新十二か月の旅は、読み返すとわかるのですが、十二か月の旅と比べて設定が凝っています。

1人のユカと旅していた王妃 → 十二人の野菜たちと旅する
1つ1つの月での事件が起きる → 1つ1つの月での事件に加えて、月をまたいで連続する事件も起きる
旅の途中で出会う人との関係はその月だけ → 旅の途中で出会う人との関係は別の月に行っても続く

全体を貫く事件のようなものがあって、物語が大きく動いていく感じです。それに、旅のお供が十二人もいますから、にぎやかです。

私はソソソナスの話が好きです。すばやい小学校を1日で卒業する話です。すべての教科をごちゃまぜで勉強します。先生の猿たちは消しゴムで出来ていて、文字通り身をすり減らして教えてくれます。

そして、詩ですが、ベーツルさまによる「この花も その花も ありのままに 色美しく」の歌が出てくるのはこの本です。とてもいい歌だと私も思います。旅をするうちにこの歌のように王妃は気づくのです。癖には悪い面といい面がある、ということに。

アニメからクレヨン王国を知った人にも、そうでない人にも、おすすめの一冊です。

追記:アニメの絵が表紙になった新装版が出ていました。



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スキャンに困るシリーズをまとめて紹介その2

その1に引き続き、スキャンに困る本をまとめて紹介します。

スキャンに困るシリーズ4:透明カバー

勘弁してください。ハードカバーをめくって、透明カバーの裏に貼り付けてからスキャンするのに苦労しました・・・
装丁としてはかなり凝っているんですがねぇ・・・

スキャンに困るシリーズ5:別冊袋とじ

PDFとしても別冊にするのか、本体と連続でスキャンするのか、別々にスキャンしておいてPDFバインダとしてまとめるのか、迷いますね。
BFCのシリーズ全部ではないけれど、結構あった。別冊三色辞典

スキャンに困るシリーズ6:逆さまページ

紙の本ならひっくり返して読むでもいいでしょうが、電子書籍だとやりにくいですね。右側だけめくって読むっていうのできないですから。結局、片側のページを全部回転して順序を逆に入れ替えました。ふー

福永令三ークレヨン王国の赤トンボ

第123冊目は、クレヨン王国シリーズでありながら、クレヨン王国との関わりがとってもうすい「クレヨン王国の赤トンボ」を紹介します。

本当はこの本をピックアップして紹介しようかどうか迷いましたが、以下3つのことがあったので、やっぱり紹介します。

(1)クレヨン王国シリーズでありながら、なぜか人間は誰もクレヨン王国に旅しない

そうなんです。この本、ちょっと不思議で、塾をやっているお母さんの子どもとその友達の子どもが主人公です。そして、ひょんなことから交流することになった童話クラブのメンバーとの交流を描いているのです。

童話クラブのメンバーとの交流のきっかけは、童話原稿を誤ってオーブンで焼いてしまったという事故です。その事故で童話の主人公がオーブンから出てくるのですが、家にいついたのが赤トンボ。この赤トンボの能力とは何なのか・・・と作者探しが始まります。

で、この赤トンボ、クレヨン王国から来たということになっているのですが、関連がうすいこと、うすいこと。
いつもの冒険ものを期待して読むとちょっと肩すかしをくらいます。

(2)塾の先生をめぐる人間関係がリアル

福永さん特有の妙にリアルな描写がひかります。テストでいい点をとるとビフテキを食べている子だとか、塾に難しい名前をつけた理由だとか、塾の先生としては尊敬されているけれど昼過ぎに起きてくるような女の人はどうこう陰でいわれているとか。

(3)ナンバープレートの遊び

車のナンバープレートの数字を足したり、ひいたりして、子どもの頃遊びませんでしたか?
「うそ八百メートルゆめ街道」という遊びが描かれているのですが、そこが子どもの頃読んだときは一番印象に残りました。ある人をこいつは魔法使いであると勝手に決めつける遊びです。これもリアルです。

全体的にこの作品はファンタジーというよりも、リアル描写で出来ています。昔を懐かしんだり、病気と闘うってどういうことだろうと思ったり、人生いろいろを考えたいときにどうぞ。



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福永令三ークレヨン王国春の小川

第122冊目は、ユーモアとおいしさたっぷり、愛と冒険の物語「クレヨン王国春の小川」を紹介します。

学校の先生とそりが合わないことを悩む(いや、愚痴る)少女、和子が主人公です。先生と合わないと聞くと、なんだかパトロール隊長を思い出してしまいますが、このお話は底抜けに明るいので心配ありません。

学校の先生にもいろいろな人がいます。生徒もいろいろです。ウマが合う合わないは当然あります。この作品ではわかりやすく、丸顔の和子は顔が長い寺田先生とそりがあわないということになっています。そして、ウマが合う木村先生と写真集の写真を撮りにいったところから冒険が始まります。

いつの間にかクレヨン王国に迷い込んでしまう和子。自分がやったことが思いがけないシステム変更を起こしたことをしった和子は、春の小川支部隊員になって、トラブルを収拾しようとがんばります。

物語の中には、恋愛あり、そりの悪い先生とそっくりな顔の三日月様あり、いろいろです。人との付き合い方もいろいろ、何かにとらわれるということの恐ろしさを描きます。そして、食べ物がおいしそう・・・

たっぷり笑ってちょっぴり泣いて、でもハッピーエンド!
作品の中に出てくる春の小川の詩がとてもいいです。
底抜けにおすすめです!



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袋とじ別冊と逆さまページ

スキャンに困るシリーズはまだありました!

●袋とじ別冊
ばらせば問題ないんだけど、冊数が多いと結構面倒ですね。作った人は取り外して使ってくれ、って思ったんだろうけど。別冊を取り外して使ったことないです。。。

●逆さまページ
チェスの本です。逆さまに読むようになっているんですよねー。結局、電子書籍にしたら、1ページずつ読むからページの順番を全部入れ換えて、同じ向きに編集しちゃいました。こういう本「問題があって1ページめくると答えがある」というのは電子書籍の方がいいかも。答えが見えない工夫もしやすいし。