3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

干刈あがたー借りたハンカチ

第37冊目は、干刈あがたの物は物にして物にあらず物語「借りたハンカチ」を紹介します。

今となっては昔の時代を描いた短編集です。でも現在に通じるところも多々あって、面白いですよ。

例えば、『必殺アミタワシ』。働くお母さんが家庭の汚れに切れてしまって、どなるのは長男ではなく長女。長女はなんで私が怒鳴られるのかと思いつつ、アミタワシでゴシゴシ掃除をするわけです。ジェンダー問題も絡めて軽妙にある家族が描き出されます。

男女それぞれのお守りを描く『指輪と文庫本』。人から話しかけられるのは苦手という人もいるでしょう。本を読んでいる振りをしたり、人妻の振りをする、それをきっかけに始まる恋。

離婚した後に実印をつくって朱で押してみる『女の印鑑』。姓が変わるってどういうこと、契約社会における女の位置が垣間見えます。

干刈あがたは、「セルフヘルプ」の翻訳者として知りました。短編集を買ってみたら、面白くってあたりでした。
ただ、今から読むとなると時代背景を想像しながら、というのが必要になっちゃいますね。それが気になるけど、時代は進むからしかたないねー。