3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

カミュー異邦人

第94冊目は、カミュの有名な小説「異邦人」を紹介します。

この小説がどう有名かといいますと、まずは書き出しのところ。
「きょう、ママンが死んだ。もしかすると、昨日かもしれないが、私にはわからない」
で始まります。

主人公は養老院から電報をもらって、母の死を確認するために向かうところなのです。

そして、真夏の日。人生を女たちと楽しむ主人公のもとにアラビア人が襲ってきます。仲間は匕首で切られます。そして、主人公がアラビア人の1人を殺してしまい、第一部は完結します。

第二部は逮捕されて、裁判にかけられる主人公。
ここで、数々のわけのわからなさが読者と主人公を襲います。まず事件にはあまり関係のなさそうな母親の死と葬儀に対する態度が問題にされます。母の年齢を正確に知らなかった、母の葬儀で涙を流さなかったとして、主人公は不可解な人とされます。
殺人に関しても、アラビア人とのトラブルはあまり問題にされず、1発撃った後に、少しの間をおいて4,5発撃ちこんだことの方が問題にされます。(まあ、それも当然問題でしょうが・・・)

主人公は裁判の途中で自分がインテリだと思われて不利になったと気づきます。そして、どうして平凡人の一長所が裁判を不利にするのだろう?といぶかしく思うのです。

異邦人の世界はカフカの変身の世界と違って、光にあふれていて明るいです。ですが、太陽のせいで殺人を犯したと発言するように、いくつかのピースがずれているのです。