スタンダールー赤と黒(上)
第100冊目は、スタンダールの恋愛小説「赤と黒」の上巻を紹介します。
一言で言うと恋愛小説なのですが、貴族と百姓との生活描写、生活からくるずるがしこさの違い、ナポレオンへの憧れなどが横糸となって、世界をつくっています。
レーナル夫人との危険な恋愛に飛び込むジュリヤンの性格描写は、この上巻から将来を暗示させます。
引用「ほんの子供のころから、ときどき思いつめることがあった。そうなると、いつかはパリの美しい女たちに紹介され、派手なふるまいをして、そういう女たちの注意をひくこともできようなどと、夢中になって空想に耽る」
レーナル夫人とジュリヤンの出会いの場面が好きですね。想像とまったく違う人が出てくる、そしておかしくなり笑い出したくなるというところ。
レーナル夫人はジュリヤンとの恋に悩みますが、全く夫人を愛していなかったジュリヤンもときがたつと夫人をなぐさめにしはじめるという、恋の発火タイミングのずれが上巻でのポイントだと思います。