夏目房之介ーマンガはなぜ面白いのか
第27冊目は、夏目房之介の「マンガはなぜ面白いのか」を紹介します。
この本をなぜ読んだか?−ちょっと長い前置き
私はマンガを大きくなるまで読んだことがなかったので、マンガを読んでみようと思いたち、手始めにマンガの解説本を読んだのです。
マンガを禁止されていたわけではありません。小さい頃から周りではマンガが流行っていましたし、それを読んでいる友人もたくさんいました。
でも、どういうわけか私にとってはマンガは読みにくく、とっつきにくいものでした。
第一に、絵と文章を両方把握するのにとても時間がかかりました。文章を読んで、絵を眺めて、文章を読んで、絵を眺めての繰り返し。文章に夢中になれば、絵はお留守にして文章だけをどんどん読んでしまい、わからなくなって、もう一度最初から絵を眺めなおしたりしました。今、そんな読み方をする人は誰もいないでしょうが、当時の私にとっては深刻な問題でした。
コマ割りも悩みの種でした。文章だとできる、ぐいぐい一直線に進んでいくやり方が通用しないのです。あっちへいったり、こっちへいったり目線を飛ばしながら読まないとなりません。それだけに時間がかかり、友達はものすごいスピードでページを繰っていくのに、私はようやく1-2ページでした。
なので、マンガの読み方というものがあるのだろうと思ったわけです。
そういう私の疑問を本書は少し解き明かしてくれました。
本書の紹介
マンガの要素として、線やオノマトペがいかに大事であるか、表現の差異を生んでいるか。そして、コマ割りにおける余白、間白の役割と発展形。日本にしかない少女マンガという分野の特殊性。
マンガをよく知らない人にも十分楽しめるわかりやすい解説本です。そして、マンガをよく知っている人なら、解説されている作品を思い出し、作者と自分の読み方を比べてみることもできます。
私はこの本で紹介されていたマンガのうち、読みたいと思ったものをいくつか買って読んでみました。象徴的なシーンで好き嫌いを判断したので、概ねそれらはあたりでした。普段読んでいるマンガと違うものを読みたい場合にもこの本は役立つと思います。