ダグラス・クープランドージェネレーションX
第10冊目はとっておきの本、ダグラス・クープランドの「ジェネレーションX」を紹介します。
この本は究極のキーワード小説です。物語も多少ありますが、物語よりも、そこに散りばめられているキーワードを楽しみながら読む、というのが本書を読む醍醐味ですね。
少しご紹介しましょう。
「地位代替ー知的なあるいはファッショナブルな意味を持つ物品を使って、単に高価なだけの物品に代替させること。『ブライアン、あなたお兄さんのBMWにカミュの本を忘れたでしょ』」
「反射性皮肉ー日常会話において、反射的に当たり前のように軽率に、皮肉なコメントを述べてしまう傾向」
こんなのもありますよ。
「YOU MIGHT NOT COUNT IN THE NEW ORDER ー新秩序では、君は数にはいらないかもしれない」
「処女走路ー他には誰もそこを選んでいないだろうと思って選ぶ旅先」
「貧乏浮力ー自分は金がないときの方がいい人間だったと気づくこと」
そして、これも。
「より少ない主義ー物質的富への期待逓減と折り合いをつける哲学。『大金をつかみたい、とか、大物になりたい、という希望はあきらめたよ。幸せになれて、そうだな、アイダホあたりの道端に小さなカフェでも開ければいい』」
どうですか?にやりとしたり、ちょっと思いを巡らせたりすること請け合いです。
物語も面白いですよ。中盤にある地球上での記憶を持ち帰るならどの一瞬をあなたは選ぶ?を話し合う場面は素敵だと思います。
で、ジェネレーションXって何?についても触れておきます。
1961年から1981年生まれのことをニール・ハウとビル・ストラウスは「13ジェネレーション」と呼んだそうです。13日の金曜日生まれのような世代であって、不吉だ、呪われているともとれるし、そんなことは気にせずに生きていくともとれる世代。
さらに、ニールとビルはこれら30年の世代を前半と後半に分けています。前半はパックマンやインベーダーゲームの世代60年代生まれのアタリ世代、後半はマリオブラザーズがブームになった70年代生まれのニンテンドー世代です。
1961年生まれのクープランドは、このアタリ世代=ポスト・ベビー・ブーマー世代をジェネレーションXと呼び、ニンテンドー世代をグローバル・ティーンズと呼んでいるそうです。(もうティーンズではありませんが・・・)