外山滋比古ーライフワークの思想
第40冊目は、昔の本とは思えない、ときどき読み返したい本、外山滋比古の「ライフワークの思想」を紹介します。
人生80年〜90年。年々平均寿命は延びています。子ども時代、定年後の時代を除いた働く時代にフォーカスがあたりがちですが、定年後ずっと続く薄暮時代は想像しているよりもずっと長いのです。昔の人は出家することで、それに区切りをつけていたそうです。
作者は、人生の折り返し点後の生き方に考えを巡らせます。
マラソンに例えて、うっかり折り返し地点を過ぎてしまうと、頑張って前に走れば走るほどゴールから遠ざかってしまうこと。
西洋の文化を輸入したのは切り花を買ってきたようなもので、花を根から咲かせる、花そのものを育てることが日本に必要なこと。
知識も古いものをどんどん捨て去り、新しい知識をいち早く吸収して、社会で役立てるというプラグマティズムに毒され過ぎてしまったこと。
人生のフィナーレは定年を迎えたときではありません。われわれは最後の最後まで、レースを捨てずに走ろう、と作者は呼びかけます。
『再考知的生活』はアイデア重視といわれる世の中で、編集の力にスポットをあてた一品。
定年より前にじっくり読み返して欲しい、そんな一冊ですね。