安部公房ーR62号の発明・鉛の卵
第88冊目は、安部公房の短編集「R62号の発明・鉛の卵」を紹介します。
全部で12編の短編が入っているのですが、中でも読んで欲しいのは、表題にもなっている「R62号の発明」です。
生きているのが嫌になって、自分という人間そのものを売り渡すことにした主人公は、ロボットになります。R62号というわけです。そして、R62号は効率化、合理化を極めた機械を発明します。
自分が人間のときに要求されていた効率化をつきつめて、人間に要求する機械です。ラストの「いったい何を発明したんだ?」の後のR62号の様子を味わってください。
安部公房の他の短編も、失業や犬が嫌いや家出や物語のきっかけが提示された後、少し奇妙な状況になってもたんたんと進みます。そして、カタスローフが大きくきて、また静かに終わります。
本作品集はSF要素の混じったものが多いので、SFが好きな方もぜひどうぞ。