恩田陸ーQ&A
第56冊目は、恩田陸の「Q&A」を紹介します。
第53冊目プイグ「赤い唇」、第55冊目「三島由紀夫レター教室」から続く手紙つながりです。「Q&A」は手紙ではないけれど、インタビューを通して書簡のようにQ&Aが展開されているので、私には手紙形式とつながっているように感じられるのです。
さて、本作ですが、ミステリーといってもいいし、サスペンスホラーといってもいいでしょう。読んでいると、現実の世界で起きた事件をいくつも組み合わせたと思わせるプロットに時々ぞっとします。
ショッピングセンターで何かパニック事故が起きたのですが、原因はわかりません。いろいろな機関が調査しているらしく、ある機関の調査員の1人が最初は事件の被害者や関係者にインタビューをしています。
けれども、インタビューの観点がインタビューをしている人の意志とは無関係にぐいっと捻じ曲げられて、知りたくない真実を知ってしまうという場面が何度も繰り返されます。
この捻じ曲げは、ついにインタビューしている人とされている人が読み続けるまではよくわからないという風に進んでいきます。いつのまにか物語が事件検証から事件の後に切り替わっているのです。このあたり、作者がたくみですね。
ちょっと凝っていて変わった物語を読んでみたいとおもうときにおすすめの一冊です。