中原中也ー在りし日の歌
第42冊目は、中原中也の詩集「在りし日の歌」を紹介します。
在りし日の歌―中原中也詩集 (角川文庫―角川文庫クラシックス)
posted at 2012.3.28
この詩集、有名な「月夜の浜辺」が読みたくて、買いました。
「月夜の晩に、ボタンが一つ 波打際に、落ちていた。
それを拾って、役立てようと 僕は思ったわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず 僕はそれを、袂に入れた。
・・・中略・・・
月夜の晩に、拾ったボタンは 指先に沁み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾ったボタンは どうしてそれが、捨てられようか?」
あらためてぱらぱらめくると、他にも知っているフレーズがいくつも目に入ります。
「思へば遠くへ来たもんだ」(頑是ない歌)
「海にゐるのは、あれは人魚ではないのです。海にゐるのは、あれは、浪ばかり」(北の海)
「いいえ、空で鳴るのは電線です電線です」(春と赤ン坊)
「愛するものが死んだ時には、自殺しなけあなりません」(春日狂想)
「ああ 家が建つ家が建つ。僕の家ではないけれど」(はるかぜ)
一日一度ページを開いて目に入ったところを読む、週末にぱらぱらめくって自分の気持ちに合う詩を探す、のような読み方がおすすめですね。