幸田文ー包む
第15冊目の紹介は、幸田文のエッセイ集「包む」です。
「何をお包みいたしましょう?」というわくわくする呼びかけから広がる世界。
現代、「何をお包みいたしましょう?」って店員さんから聞かれることは殆どないですね。店員さんが店員である前に人間であった時代も遠く終わりを告げようとしています。ローカリゼーションのような揺り戻しがあるのかもしれませんが・・・
さて、幸田文のエッセイ集は数々ありますが、最初に読むのなら「包む」をおすすめしたいです。
「何をお包みいたしましょう」で、思いがけないお土産を大量に包んでしまった話、幸田文の父が文が結婚するにあたって相手の親の気持ちになっていろいろ考える結婚雑談、晩年になって「この人私に似ているわ。でも今、似ているっていっても絶対違うっていうわ。そういうところも若いころの私に似ているわ」と思う話、可愛がっていた猫をなくしてしまう話など読みどころが盛りだくさんだからです。
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