幸田文ー流れる
第4回は幸田文の長編小説から「流れる」を紹介します。
幸田文は短編小説も素晴らしいですが、長編小説も読みごたえがありますね。
「流れる」は賞をとっていることもあって、「台所の音」よりも読んでいる人、書評を書いている人が多そうですが、今から読む人にとっては、ちょっと、とっつきにくいかもしれません。
なぜなら、芸者の置屋というイメージしにくいところが舞台ですし、今となれば耳慣れない言葉も出てきます。
けれども、「流れる」はぜひ読んで欲しい作品です。
特に最後の場面、主人公が仕えている芸者さんに主人公がただものではないと見抜かれてしまう場面が秀逸です。
幸田文は面白い作家で、見たものでないと書けない、といって、フィクションでもノンフィクションのような的確な観察による描写やエピソードがふんだんに散りばめられています。
そこをぜひ味わいながら、ゆっくり読んで欲しい作品です。
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