星新一ーブランコのむこうで
第2回は私が初めて電子化した本、星新一「ブランコのむこうで」です。
どうして選んだか
この本は比較的薄めで、文字中心、章の始めにイラストが入るという形式の文庫本です。
薄めなので、何回もスキャンして状態を確かめるのにもよいですし、イラストとテキストがあった場合のテストもできます。
さらに、私が買ったのは大分昔で、黄ばんでおり、黄ばんだ本スキャンのテストも兼ねていました。
そして、何よりこの本が大好きだからスキャン1冊目として選びました。
どんな話?
一言で言えばファンタジーです。映画化やアニメ化されれば素晴らしい出来になるだろうと思うような話です。
物語の始めの部分が私はとても好きです。学校にいっているくらいの年齢のぼく(主人公)は、何か起こりそうな予感がして、ぼうっとそのことを考え続けます。バターをトーストの両面に塗ってしまい、お父さんに「新発明はいいけど、手がべとべとだよ」と注意される場面が大好きです。
気にとられている様子が自然に出ていると思いませんか?
そして、ぼく(主人公)はぼくそっくりの誰かに会って、思わず追いかけてしまうところから冒険が始まります。
ネタバレ感想
ぼくが会ったぼくは夢の中のぼくで、ぼくはいろんな人の夢を旅することになるのです。
次から次へと旅する夢の選択が秀逸だと思いました。
現実は冴えないけれど夢の中では王様になっている人の場面では、夢の世界は本人がよければ自由じゃないの?という問題を提起します。
自殺しようとしてぎりぎり助かる人の話では、ほほえんで仲良くなった後、突然去ることになり、その後が気になります。
岩を削る人の話では、ライフワークって何だろうと考えさせられます。
ぼく(主人公)はいろんな人の夢を旅しながら、少しずつ成長していったのではないでしょうか?
最後のオチにいたるまで、きちっと計算された星新一の世界を堪能して欲しいです。