3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

筒井康隆ー残像に口紅を

第131冊目は、筒井康隆の実験的小説「残像に口紅を」を紹介します。

この本は大・大・大おすすめです。

まず、設定が面白いです。世界から1文字ずつ文字が使えなくなっていく=消えていくという設定です。だから、小説を書いている途中で、いきなり「あ」が使えなくなってしまうわけです。

けれども、さすが筒井康隆、不自然ではない言い回しで小説がえんえん続いていくのです。小説の後半に、喫茶店でジュースを注文するときの言い回しが面白かったです。もちろん、ジュースという言葉は使えない状態になっています。

この小説のおまけについている論文も面白いです。小説が2度楽しめること請け合いです。筒井康隆がどのようにしてこの小説を書いたかの推理から、本当に禁止文字が使われていないかの検証までしています。

最後に、私はこの小説の1つ1つの文字が消えるところについているイラストが好きです。一番好きなのは□るぱかのイラストですね。ぜひ、現物は手にとって確かめてみてください。



★関連記事

筒井康隆ー言語姦覚:A型社会の弊害は必読です。