3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

ヘルマン・ヘッセー車輪の下

第126冊目は、ヘルマン・ヘッセの有名な小説「車輪の下」を紹介します。

主人公のハンスは天分のある少年です。州の試験に二番で通り、神学校に進学します。試験に受かり、ほっとしたのもつかの間、すぐにギリシャ語で聖書を読む予習に入ります。ところが、ギリシャ語だけでなく、すぐ他の教科も予習したらと先生に言われるのです。そして、ハンスの楽しみは釣りと泳ぎだったのですが、ヘブライ語や数学の時間にあてられるのです。真面目なハンスはそれを受け入れます。

神学校に行ったハンスは自分とは違う性質をもった生徒、ハイルナーにひかれます。ハイルナーにひかれて一緒に過ごすようになり、次第に成績が落ちていきます。たびたび先生に呼び出されるようになり、ハンスはハイルナーと勉強との板挟みで悩みます。顔色が悪くなり、授業中でもぼうっとするようになりました。

ああ、われはいたく疲れたり。
ああ、われはいたく弱りたり。
さいふに一銭だになく、
懐中無銭なり。

ついに神学校から家に帰されたハンスは、父親のすすめるままに機械工の見習いになります。そして・・・悲劇は訪れるのです。

登場人物に悪意を持った人はいません。誰もがハンスのためを思い、ベストと思う助言をするのですが、ハンスはだんだん追い詰められて行き場を失ってしまうのです。休息できないことの恐怖を描いた作品。