3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

福永令三ークレヨン王国新十二か月の旅

第124冊目は、アニメのクレヨン王国のもとになった本「クレヨン王国新十二か月の旅」を紹介します。

クレヨン王国シリーズの1作目にならって、シルバー王妃が旅をするお話です。1作目で12もある癖を直したシルバー王妃。実は、もう12個の癖があって、それを抑えるために王家に伝わるわがまま封じのティーカップを使っていました。

王妃の癖がもとで家出までした王様は、王妃が完璧な人になって幸福なはずでしたが、なぜか面白くないのでした。王妃にわがままを直せといって、直してもらったら面白くない・・・さすがに王様も自分が自分勝手だと思ったようです。王様は毎年1年1回来るある人に相談をします。

ある人は言うのです。「王妃様もわがまま封じのティーカップに描かれた野菜たちも限界です、里帰りをさせてやりなさい」というわけで、王妃が野菜たちと旅をする新十二か月の旅が始まります。

新十二か月の旅は、読み返すとわかるのですが、十二か月の旅と比べて設定が凝っています。

1人のユカと旅していた王妃 → 十二人の野菜たちと旅する
1つ1つの月での事件が起きる → 1つ1つの月での事件に加えて、月をまたいで連続する事件も起きる
旅の途中で出会う人との関係はその月だけ → 旅の途中で出会う人との関係は別の月に行っても続く

全体を貫く事件のようなものがあって、物語が大きく動いていく感じです。それに、旅のお供が十二人もいますから、にぎやかです。

私はソソソナスの話が好きです。すばやい小学校を1日で卒業する話です。すべての教科をごちゃまぜで勉強します。先生の猿たちは消しゴムで出来ていて、文字通り身をすり減らして教えてくれます。

そして、詩ですが、ベーツルさまによる「この花も その花も ありのままに 色美しく」の歌が出てくるのはこの本です。とてもいい歌だと私も思います。旅をするうちにこの歌のように王妃は気づくのです。癖には悪い面といい面がある、ということに。

アニメからクレヨン王国を知った人にも、そうでない人にも、おすすめの一冊です。

追記:アニメの絵が表紙になった新装版が出ていました。



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