トゥーサンー浴室
第103冊目は、ジャン・フィリップ・トゥーサンの奇妙な小説「浴室」を紹介します。あまりの風変りさに新人作家であるにも関わらず、国内でもヒット、フランスでは映画化されるという注目ぶりでした。
浴室が居心地よすぎるので、そこからなかなか出ようとしない男の物語です。といっても、ひきこもりではなく、小説の冒頭から数えて11番目のパラグラフで、速攻出てしまいます。
小説にはパラグラフ毎に括弧つきで番号が振られています。そして、冒頭には意味ありげにピタゴラスの定理の文章が示されています。小説は大きく3部に分かれていて、「パリ」「直角三角形の斜辺」「パリ」と並んでいます。
薄い小説なので、すぐ読めます。あなたがくつろげる場所はどこですか?そして、くつろいでいるとそこから出そうとする外部の圧力を感じませんか?そんなあなたに。