3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

福原麟太郎(訳)ーイングランド童話集スコットランド童話集アイルランド童話集

第93冊目は、童話集「イングランド童話集 スコットランド童話集 アイルランド童話集」を紹介します。

なんとも長いタイトルのこの童話集、ご想像通り、イングランドスコットランドアイルランドの童話を集めた本です。

イングランド童話集の部分には、有名な童話がいくつも入っています。例えば、「ジャックと豆の木」「三つのねがい」「親指トムの物語」「ビウティとビースト(美女と野獣)」などです。

読んでいて、好きになったのはスコットランドの童話集です。私が好きなのは以下の3篇です。

「金の木」と「銀の木」・・・王女と後妻の御妃が対決するいつものパターン。白雪姫に代表されるパターンなのですが、王女と結婚した王子にもう一人御妃ができても仲良く暮らすというの新しいところです。

「妖精ウィッペティ・ストーリー」・・・悪い妖精が出てくるお話。名前に威力があるというパターン。妖精も魔法使いもいい人と悪い人があるという2パターンの中で、しばしば悪人はその名前を隠し、名前を知られると魔力がなくなり、悪いことができなくなるというお話がみられます。よって、はかりごとにかかってしまった主人公がどうやって名前を手に入れるかというのが読みどころです。他のお話とも比べてみるといいかも。

「糸つむぎ女ハペトロット」・・・糸紡ぎは昔はとても大事な仕事でした。それがどうしてもできないと嫁の貰い手もなかったのです。そんな娘さんのところに訪れた奇跡です。このパターンのお話はいろいろありますが、娘さんが結婚するという幸福ともう糸紡ぎをしないでもいい立場を手に入れるという両方が実現します。そして、実現のためには、糸紡ぎを助けてくれるおばあさんやおばさん(大抵みっともないなりをしています。醜いです)を最後まで大切な人として取り扱うことが必要です。首尾一貫しているのが読んでいて気持ちよく好きです。

アイルランド童話集はまたちょっと感じが違います。
「なまけ娘と三人のおばさん」・・・糸つむぎ女ハペトロットと同じパターンの話です。糸紡ぎを助けてくれるのは今度は三人のおばさんになっています。面白いのはこのお話の最後の部分です。
『おもしろいけれどためになる話ではありませんね』と言い切っています。そして、主人公はまぶしいほど美しい娘でした。あなたがたはそれほど美しくありません。三人の妖精のおばさんが助けてくれましたが、今どき妖精などというものはいません。家の前を馬にのって通りかかる王子様もいません、というのです。すごい、教訓がいっぱい。。。