3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

田村隆一ー腐敗性物質

第92冊目は、田村隆一の詩集「腐敗性物質」を紹介します。

処女詩集「四千の日と夜」が完全収録されていますが、形式が変わっています。まるで散文のような詩集です。

『皇帝』より
「石の中に眼がある 憂鬱と倦怠にとざされた眼がある」

『十月の詩』より
「危機はわたしの属性である」

そして、詩集「言葉のない世界」、表題の「腐敗性物質」へと続きます。私は、「言葉のない世界」の中の『天使』が好きです。

『天使』より
ひとつの沈黙がうまれるのは
われわれの頭上で
天使が「時」をさえぎるからだ

言葉は魂の叫びになり、さまよい、どこかへ行こうとします。
手に取って、その時々に気持ちがあう部分を楽しんではいかがでしょうか。