田村隆一ー腐敗性物質
第92冊目は、田村隆一の詩集「腐敗性物質」を紹介します。
処女詩集「四千の日と夜」が完全収録されていますが、形式が変わっています。まるで散文のような詩集です。
『皇帝』より
「石の中に眼がある 憂鬱と倦怠にとざされた眼がある」
『十月の詩』より
「危機はわたしの属性である」
そして、詩集「言葉のない世界」、表題の「腐敗性物質」へと続きます。私は、「言葉のない世界」の中の『天使』が好きです。
『天使』より
ひとつの沈黙がうまれるのは
われわれの頭上で
天使が「時」をさえぎるからだ
言葉は魂の叫びになり、さまよい、どこかへ行こうとします。
手に取って、その時々に気持ちがあう部分を楽しんではいかがでしょうか。