3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

安岡章太郎ーガラスの靴・悪い仲間

第89冊目は、安岡章太郎の小説「ガラスの靴・悪い仲間」を紹介します。偶然ですが、安岡章太郎の誕生日は今日5月30日です。

表題の「ガラスの靴」は著者が若返ったと評される作品だそうです。ある店で番をする主人公の青年が女性に魅かれたのち、失恋するさまを描いています。

「宿題」は、学校の宿題をやっていかなくても立たされるだけだと知った主人公の物語です。宿題をやるのが面倒になってから、学校に行くのも面倒になり、そして・・・

「陰気な愉しみ」は、月に一度役所にお金をもらいにいく話です。今ならさしずめ生活保護を連想するかと思いますが、この主人公は戦争で受けた傷のせいで病気になったということでお金をもらっています。正当な権利なんだけど後ろめたい、だから猥褻になってやろう・・・

文体は軽妙なのですが、ところどころの話は重い小説集です。