テネシー・ウィリアムズーやけたトタン屋根の猫
第81作目は、テネシー・ウィリアムズの名作戯曲「やけたトタン屋根の猫」を紹介します。ウィリアムズはガラスの動物園も有名ですね。
やけたトタン屋根の猫 (新潮文庫)
posted at 2012.5.19
私の読んだ版ではタイトルが「やけたトタン屋根の猫」となっていましたが、私は古い版のタイトル「やけたトタン屋根の上の猫」の方が好きです。たぶん、上の、がつくと長いから短くしたんですよね。
さて、この戯曲ですが、途中のセリフでタイトルが明らかになります。
愛している人と一緒に暮らしているのに、夫婦なのに、片方の愛が冷めてしまった状態。そんなときにも頑張りとおすことを彼女は焼けたトタン屋根の上の猫に例えるのです。
やけたトタン屋根の上でじっと待っている猫。じりじりと焼ける熱いトタン屋根の上で我慢比べをする猫。
そして、戯曲の最後はあるカタストローフで終わります。実現するかはわからないけれどあることを宣言することで、膠着状態に決着をつけようとするのです。焼けたトタン屋根の上からとびかかるヒロイン。
愛の形がわからなくなったときに、どうぞ。