グールドー人間の測りまちがい
第69冊目は、連休中にじっくり読みたい本ということで、グールドの「人間の測りまちがい」を紹介します。
人間の測りまちがい〈上〉―差別の科学史 (河出文庫)
posted at 2012.4.29
人間の測りまちがい 下―差別の科学史 (2) (河出文庫 ク 8-2)
posted at 2012.4.29
この本、上下巻に分かれていて、量的にも質的にも読みごたえがあります。
内容は、これまで人間が人間をどのように測定して、人種や民族での分類と科学的調査を関連づけようとしてきたのかの歴史が細かく書かれています。そして、タイトルの「まちがい」が示すように、頭がい骨の大きさや脳の容量で優劣は測れないこと、調査の段階でいかに恣意的に測定値がねじまげられたか、を解説しています。私たちがよく知っているIQについても、それがどうやって開発され、どのようにテストされ、テスト結果をどう利用してきたかが述べられます。
時間のあるときにじっくり読んで欲しい本です。
と書いておきながら、時間のない人へ
時間のない人は、230ページ第7章の 否定しがたい結論から読むといいかも。「類比は有効であるが限界がある。」
知能が生まれつき頭の中にあるたった一つの実体であって、何か一つの数値で示されるなんてことはないのです。そして、そのたった一つの数値をめぐって人類が対立することも馬鹿げたことです。