3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

新田次郎ー八甲田山死の彷徨

第54冊目は、今となってはビジネス書にあたるのかな?、新田次郎の「八甲田山 死の彷徨」を紹介します。

なぜこれが長編小説ではなくビジネス書になってしまうかというと、リスキーシフトの最たる例が書いてあるからなんですよね。

八甲田山で軍隊が対ロシア戦を想定した訓練を行いました。冬山を越えるというもので、間違えたら死ぬような訓練です。片方の部隊は少数精鋭で、体が丈夫なものを選びます。1人1人に雪山登山での研究課題(ご飯はどうやったら長持ちするか?など)を与えて、踏破を試みます。もう片方の部隊は大人数。医師も同行するのですが、発言力は低く、危険だという警告も無視されます。最後の最後で決断が必要な場面、冷静に考えることができず、「不可能を可能とするのが日本の軍隊ではないでしょうか」刀を抜き放って「すすめー」に「おー」となってしまう。まさにリスキーシフトのお手本です。

長編小説なんですが、非常に読みやすいです。そして、生き残った人から聞いて構成したという生々しい記述に驚きます。組織のあり方、会議の役割、目標を達成するということ、いろいろ考える材料に事欠かない本です。