寺山修司ー赤糸で縫いとじられた物語
第47冊目は、寺山修司のちょっと変わった童話「赤糸で縫いとじられた物語」を紹介します。
この童話はちょっと変わっています。お決まりのハッピーエンドに殆どなりません。そして、各短編ごとのつながりはないのですが、登場人物の名前で共通しているのが「ジョニー」と猫の「けむり」です。私はけむりっていう名前の猫がどんなだろう?と読んでいてずっと気になっていました。ジョニーは少年だったり水夫だったりいろいろです。
各短編の最初に詩が書いてあります。マザーグースのようでもあり、物語の悲劇を暗示するようでもあります。例えば、
「同じ鳥でも飛ばないとりはなあんだ?
それはひとり という鳥だ」
というのとか。これは『壜の中の鳥』という短編から。そして、
「リボンをむすんだ
リボンをむすんだ
そうしたら
帰るお家がなくなった
美しいお嬢さん!」
は『海のリボン』という短編です。
「なみだはこの世で一番小さな海である」で終わる哀しいお話です。
寺山修司はこの短編童話+マザーグースのような散文詩を「ジュリエット・ポエット」と名付けていたそうです。
なんだか納得してしまいますね。
風の強い日に紅茶でもいれてのんびりとどうぞ。