トルストイークロイツェル・ソナタ 悪魔
第39冊目は、ものすごくおすすめの小説、トルストイの「クロイツェル・ソナタ/悪魔」を紹介します。
この小説は非常におすすめで5つ星ならぬ6つ星をつけたいくらいです。
なぜなら、あのトルストイの小説にも関わらず、薄い!短編集です。より詳しく言えば、短編が二つです。これは読みやすい。
そして、内容が面白い。男の嫉妬を描かせたら、トルストイか漱石かだと私は思います。
女の嫉妬についてはよく知りませんが、男の嫉妬の特徴は、とにかく、うじうじ、つらつらとよく悩むところです。そこまで、誠実であろうとか、これは裏切りだとか、悩まなくてもいいと思うのですが、主人公は悩みます。
妻は不貞をはたらいていたのかもしれないし、そうでなかったかもしれないのですが、嫉妬に狂った夫には、そんなことはもうどうでもよくなってしまい、思わず行動してしまいます。それがカタストロフへとつながるクロイツェルソナタ。
性的欲望には逆らい難いものですが、婚約者と出会う前に、気晴らしにお互い了解済みで結んだ関係だったらどうでしょう。そして、結婚した後に、ふとしたことで昔つきあっていた彼女と出会う。強い性的欲望を感じて揺れ動き、悩む主人公。こんなに悩むくらいならいっそ、とこちらもカタストロフへと進みます。まさに性的欲望は「悪魔」というわけですね。