幸田文ーみそっかす
第35冊目は、幸田文の「みそっかす」を紹介します。
これ珍しく岩波文庫の緑帯です。
「みそっかす」は父のこと、母のこと、継母のこと、姉のこと、弟のこと、幸田文が思い出しながら書いたエッセイです。
母のエピソード:父が外で食べた料理を話すと、2-3日のうちにそっくりな料理を食卓にのせて、なんでもありませんでした、というのが目を引きます。あげくのはてには、西洋料理は上にかけるソースが肝心なんですねといち早く見抜く始末です。
みそっかすの後、作者は何を書こうかと感動を求めて、木をみたり、崩れをみたりする旅に出たそうです。想い出は語ればそれで終わり、無尽蔵に量産できるものではない、との話に、幸田文という人は求められるままに想い出を筆にした結果、想い出がふわっと消えてしまったのかもしれないなと思いました。
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