3回以上読んだ文庫本を紹介

3回以上読んで本棚に残した(売らなかった)上に、自炊して電子書籍化し、さらにもう1度電子データで読んだ文庫本を紹介します。

クシシュトフ・キェシロフスキートリコロール 青の愛・白の愛・赤の愛

第24冊目は、発音すると舌がもつれそうになる映画監督クシシュトフ・キェシロフスキの「トリコロール 青の愛・白の愛・赤の愛」を紹介します。


この本を読む前に映画「トリコロール 青の愛・白の愛・赤の愛」をまず見ることを強くお奨めします。そうでないと、小説の描写だけではどうしてこうなっているのかよくわからない場面があるからです。

青の愛、白の愛、赤の愛はそれぞれ別々の物語です。ですが、物語の最後で、登場人物たちが偶然に一堂に会するところが出てきます。ああこうなったのね、と思いをはせてください。

青白赤の旗はトリコロール。フランスの国旗です。自由、平等、博愛を3つの物語が1つずつテーマになっています。

青の愛は自由。交通事故で死んでしまった作曲家の妻を主人公として、自分が思っていた愛の形を確かめる旅です。映画では少しひかえめともいえるジュリエット・ビノシュの抑えた演技が光っていました。音楽がキーになっていますから、ぜひ映画を見て、その後で小説を読んで欲しいです。

白の愛は平等。女性の髪の毛を愛撫する特技を持つ理髪店主が主人公。パトリス・ルコントを思い出しますね。映画でのジュリー・デルピーは完璧な女性を演じていて、ああいう女性が素敵よね、と思います。
主人公がしかけた罠は見事に成功するのですが、その後で愛をもう一度知り、二人が平等になるということになっています。まさに「
愛は近くて遠い。傷つきやすいが、生きのびる道も知っている」です。

赤の愛は博愛。モデルが主人公です。ふとしたことから恋人とすれ違い、盗聴を日課にしている元判事と出会います。映像では、赤色が象徴的に使われていて、三作品のうちで色使いが一番目立っていました。

なんだか映画の感想いっぱいになってしまいましたが、機会あれば両方手に取ってもらいたいです。